|公開日 2019.6.27


1|出題傾向と合格対策

1 どこが出ても不思議はない

宅建試験の出題総数50問のうち、宅建業法は20問(40%)出題されます。
宅建業法はやさしい科目です。合格者の大半も、宅建業法で16点以上(80%以上の正解率)をとっていますので、同じようにここで大量点をとることが合格の絶対条件といえます。

例年広い範囲にわたって出題されており、全部のテーマが出題範囲となります。
どこが出されても不思議はありません。
出題は標準的な基本項目が中心ですが、細かな点や横断的・総合的な問題も出題されます。施行令(政令)や施行規則(国土交通省令)も対象となるため、過去問レベルのものは勉強しなければなりません。

出題者としては、今後「宅地建物取引士」としてやっていく上で、憲法ともいうべき宅建業法を、各種業務規制や手続などあらゆる点で正確に理解しているかどうかを知りたいわけです。

2 過去問練習が必須

各テーマは過去問にほぼ出尽くした感がありますから、過去問練習が絶対に欠かせません。できるだけ数多くの問題数をこなしましょう。同じような問題を数多く解いているうちに、グングン力がついてきます。
難問が2~3問は出題されるでしょうから、最低でも16点が目標です。

なお、「免許の基準と登録の基準」「変更の届出と変更の登録」「宅建業者名簿と取引士資格登録簿」「重要事項説明書と37条書面」など、まぎらわしいテーマはノートに整理するなどして知識を正確にしましょう。

2|直近10年間の出題テーマ

1 最重要テーマ

平成21年から30年までの10年間、必ず出題された最重要テーマが、次の1~8です。

  • 1 自ら売主の8種規制
  • 2 重要事項説明
  • 3 媒介契約
  • 4 営業保証金
  • 5 保証協会
  • 6 報 酬
  • 7 37条書面
  • 8 取引士・取引士証

|1 自ら売主の8種規制|
例年4問~5問出題で、最重要項目です。
「クーリング・オフ」「解約手付・手付の制限」「損害賠償の予約」「瑕疵担保責任(特約の制限)」「手付金等の保全措置」など。

問題文に「自ら売主」と記述されますが、平成30年ではこの表記がありませんでしたので、問題文から8種制限であることを読み解かなければなりませんでした。

1問が1つのテーマで、たとえば「クーリング・オフ」について出題される場合と、1問中に4テーマが詰め込まれて出題される場合があります。
いずれにせよ、何が出されても正解できるよう細かなところもおろそかにできません。

|2 重要事項説明|
例年2問~3問出題。「宅地か建物か」「完成物件か未完成物件か」「売買か貸借か」「1戸建てかマンション(区分所有建物)か」をしっかり区別することがポイントです。
共通の説明事項と固有の説明事項を混同しないよう要注意。
単独で出題される場合や「37条書面」との比較で出題される場合があります。

「マンションの売買・賃貸」の場合は、規約の定めがあるかどうかやや複雑ですから、細かい部分も再確認しておきましょう。

|3 媒介契約|
媒介契約の3タイプは必須。媒介契約書の記載事項、有効期間、更新、指定流通機構への登録など。

|4 営業保証金|
|5 保証協会|
|6 報 酬|
いずれも金銭に係わるテーマで、ほぼ毎年出題されます。
「手付金等の保全措置」もそうですが、金銭に係わる事由は出題頻度が高いのです。

|7 37条書面|
例年1~2問出題。必要的記載事項と任意的記載事項の別、売買と貸借の別、重要事項説明書や媒介契約書との対比などが頻出です。

|8 取引士・取引士証|
それぞれ独立して1問出題される場合と、登録の基準 ── 取引士 ── 取引士証 ── 届出事項など一連の流れをいろいろ組み合わせて、取引士と取引士証に関わる横断的な知識が問われます。

なお、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が、平成22年から毎年1問(問45)出題されています。

2 重要テーマ

1~8以外の頻出テーマです。

  • 免許の必要性|宅建業の意味
  • 免許の基準|免許の欠格事由
  • 免許手続
  • 業務規制|広告規制・取引態様
  • 案内所/標識
  • 証明書/帳簿
  • 監督処分/宅建業者と取引士
  • 罰 則
宅建業法では、最重要・重要に関係なく、すべてのテーマに出題可能性がありますので、テキストの1ページ1ページ、過去問の1問1問が出題範囲と思って取り組むようにしましょう。

また、「速やかに」「遅滞なく」「2週間以内」「30日以内」「100分の5以下」などの手続期限・数値を正確に覚えることも得点ポイントとなります。

3|個数問題・組合せ問題

1 出題傾向と対策

「正しいものはいくつあるか」という個数問題、「違反しないものの組合わせはどれか」という組合せ問題は、平成23年まではポツリポツリと出題されていました。
ところが、平成24年から7問くらいに激増しました。
出題数は次のようになっています。個数問題の方がはるかに多く出題されています。

  • 平成24年 7問
  • 平成25年 7問
  • 平成26年 7問
  • 平成27年 9問
  • 平成28年 7問
  • 平成29年 6問
  • 平成30年 4問
個数問題・組合せ問題は、1肢1肢を理解できないと正解できない仕組みになっていて、消去法は使えません。しかし普段の勉強をていねいにやっていれば、とくに心配することはありません。

平成30年の問題から、参考までに個数問題と組合せ問題の出題例をあげました。

2 個数問題の出題例

 平成30年|問37 
宅地建物取引業者である売主Aが、宅地建物取引業者Bの媒介により宅地建物取引業者ではない買主Cと新築マンションの売買契約を締結した場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか

 AとCの間で、クーリング・オフによる契約の解除に関し、Cは契約の解除の書面をクーリング・オフの告知の日から起算して8日以内にAに到達させなければ契約を解除することができない旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。

 Cは、Bの事務所で買受けの申込みを行い、その3日後に、Cの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

 Cは、Bからの提案によりCの自宅で買受けの申込みを行ったが、クーリング・オフについては告げられず、その10日後に、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフによる契約の解除はできない。

 クーリング・オフについて告げる書面には、Bの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。

 一つ
 二つ
 三つ
 なし

3 組合せ問題の出題例

 平成30年|問34  
宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、宅地建物取引業法第37条の規定により、当該貸借の契約当事者に対して交付すべき書面に必ず記載しなければならない事項の組合せはどれか

 瑕疵担保責任の内容
 当事者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所
 建物の引渡しの時期
 建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項

 ア、イ
 イ、ウ
 イ、エ
 ウ、エ


(この項終わり)