|公開日 2019.4.16
|目 次|
1|出題傾向と合格対策
1 都市計画法と密接に関係
建築基準法は、法令制限の科目の中ではおそらく一番身近な法律でしょう。
みなさんも「防火地域」とか「耐火建築物」などの用語を聞いたことがあるのではないでしょうか。マスコミでも大手不動産会社による「建築基準法違反の物件」がニュースにとりあげられて、話題になることも少なくありませんね。
「建築基準法」を攻略するには、都市計画法の「用途地域」の知識が前提となります。
建基法では、第一種低層住居専用地域や商業地域などの用途地域に応じて、より具体的な細かい規制、たとえば用途制限や各種高さ制限などが定められていますので、どうしても都市計画法の基本的な知識がないと得点がむつかしくなってしまうのです。
2 地域・区域・数値を正確に
出題範囲は広範囲に及んでいますが、出題数は、都市計画法と同じく平成13年から1問減って2問になりましたので、やはり学習効率のいい科目とはいえません。過去の類似問題もそう多くはありません。
平成21年には「正しいものはいくつあるか」という「個数問題」が初登場しましたが、その後は25年に出題されただけです。個数問題ではより確実な知識が問われるため、やはり「消去法」限定的で、その分問題は難化します。
なお「正しいものの組合せはどれか」という「組合せ問題」は、出題されたことがありません。
「地域」「区域」「面積」「高さ」「階数」などの場合分けが多く、混乱しがちですが、過去問レベルの重要な数値などは正確に覚える必要があります。
これが不正確なために1点失うことになるので要注意。
合格対策は、やはり「テキスト」精読と「過去問」練習の往復学習、そしてこれを最低でも3回はくり返す反復学習です。
2|直近5年間の出題テーマ
平成30年|問18
- 非常用進入口の設置を要する建築物の部分
- 完了検査を要する防火地域内の木造建築物の増築
- 一定建築物の2階以上にあるバルコニーの手すり壁等の設置
- 法改正により不適合となった建築物への法適用
- 田園住居地域内における建築物の高さ限度
- 2の用途地域がある敷地の用途制限
- みなし道路の要件
- 壁面線の指定がある場合の容積率規制
- 検査済証交付前の新築住宅の使用条件
- 長屋各戸の界壁の規模
- 下水道法による処理区域内の便所
- 建築確認を要する用途変更
- 用途地域の無指定区域内の建ぺい率上限値の設定手続
- 用途地域内の建築制限
- 道路の指定
- 前面道路が2つ以上ある場合の容積率の算定
- 外壁の耐火構造と隣地境界線
- 非常用昇降機を要する建築物
- 準防火地域内における準耐火建築物の要件
- 一定の耐火建築物における床面積等の要件
- 用途地域内の建築制限
- 前面道路の幅員と容積率制限
- 公園内の一定建築物の建ぺい率制限
- 用途地域内建築物の外壁から敷地境界線までの距離制限
|各区域の建築確認の要否|
- 防火地域・準防火地域外の一定の床面積を有する改築
- 都市計画区域外の一定の木造新築
- 一定の床面積を有するホテルへの用途変更
- 一定の床面積を有する映画館の改築
- 容積率に算入されない建築物の部分
- 2以上の区域にわたる建ぺい率の限度
- 地盤面下に設ける建築物
- 建築協定
- 居室における窓その他開口部の採光有効面積
- 建築確認の対象となる工事の種類
- 避雷設備を要する建築物
- 準防火地域内における屋上看板の材料
- 工業地域内の用途制限
- 学校の新築制限
- 特別用途地区内における用途制限の緩和
- 防火地域内の耐火建築物の建ぺい率
3|宅建試験問題|直近5年間
1 平成30年度
平成30年|問18建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 建築物の高さ 31m以下の部分にある全ての階には、非常用の進入口を設けなければならない。
2 防火地域内にある3階建ての木造の建築物を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、その工事が完了した際に、建築主事又は指定確認検査機関の完了検査を受ける必要はない。
3 4階建ての事務所の用途に供する建築物の2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。
4 建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の規定に適合しなくなった場合、当該建築物の所有者又は管理者は速やかに当該建築物を改正後の建築基準法の規定に適合させなければならない。
平成30年|問19
建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 田園住居地域内においては、建築物の高さは、一定の場合を除き、10m又は12mのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
2 一の敷地で、その敷地面積の40%が第二種低層住居専用地域に、60%が第一種中高層住居専用地域にある場合は、原則として、当該敷地内には大学を建築することができない。
3 都市計画区域の変更等によって法第3章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員2mの道で、特定行政庁の指定したものは、同章の規定における道路とみなされる。
4 容積率規制を適用するに当たっては、前面道路の境界線又はその反対側の境界線からそれぞれ後退して壁面線の指定がある場合において、特定行政庁が一定の基準に適合すると認めて許可した建築物については、当該前面道路の境界線又はその反対側の境界線は、それぞれ当該壁面線にあるものとみなす。
2 平成29年度
平成29年|問18建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 鉄筋コンクリート造であって、階数が2の住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。
2 長屋の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとしなければならない。
3 下水道法に規定する処理区域内においては、便所は、汚水管が公共下水道に連結された水洗便所としなければならない。
4 ホテルの用途に供する建築物を共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)に用途変更する場合、建築確認は不要である。
平成29年|問19
建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 都市計画区域又は準都市計画区域内における用途地域の指定のない区域内の建築物の建ぺい率の上限値は、原則として、法で定めた数値のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものとなる。
2 第二種中高層住居専用地域内では、原則として、ホテル又は旅館を建築することができる。
3 幅員4m以上であり、法が施行された時点又は都市計画区域若しくは準都市計画区域に入った時点で現に存在する道は、特定行政庁の指定がない限り、法上の道路とはならない。
4 建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満の場合に限る。)を用いて算定する。
3 平成28年度
平成28年|問18建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 防火地域にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
2 高さ30mの建築物には、原則として非常用の昇降機を設けなければならない。
3 準防火地域内においては、延べ面積が 2,000㎡の共同住宅は準耐火建築物としなければならない。
4 延べ面積が 1,000㎡を超える耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ 1,000㎡以内としなければならない。
平成28年|問19
建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 特定行政庁が許可した場合、第一種低層住居専用地域内においても飲食店を建築することができる。
2 前面道路の幅員による容積率制限は、前面道路の幅員が12m以上ある場合は適用されない。
3 公園内にある建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものについては、建ぺい率の制限は適用されない。
4 第一種住居地域内における建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離は、当該地域に関する都市計画においてその限度が定められた場合には、当該限度以上でなければならない。
4 平成27年度
平成27年|問17建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 防火地域及び準防火地域外において建築物を改築する場合で、その改築に係る部分の床面積の合計が 10㎡以内であるときは、建築確認は不要である。
2 都市計画区域外において高さ12m、階数が3階の木造建築物を新築する場合、建築確認が必要である。
3 事務所の用途に供する建築物をホテル(その用途に供する部分の床面積の合計が 500㎡)に用途変更する場合、建築確認は不要である。
4 映画館の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が 300㎡であるものの改築をしようとする場合、建築確認が必要である。
平成27年|問18
建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 建築物の容積率の算定の基礎となる延べ面積には、エレベーターの昇降路の部分又は共同住宅の共用の廊下若しくは階段の用に供する部分の床面積は、一定の場合を除き、算入しない。
2 建築物の敷地が建ぺい率に関する制限を受ける地域又は区域の2以上にわたる場合においては、当該建築物の建ぺい率は、当該各地域又は区域内の建築物の建ぺい率の限度の合計の2分の1以下でなければならない。
3 地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。
4 建築協定の目的となっている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合においては、その建築協定については、当該建築物の借主は、土地の所有者等とみなす。
5 平成26年度
平成26年|問17建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 住宅の地上階における居住のための居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して7分の1以上としなければならない。
2 建築確認の対象となり得る工事は、建築物の建築、大規模の修繕及び大規模の模様替であり、建築物の移転は対象外である。
3 高さ15mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
4 準防火地域内において建築物の屋上に看板を設ける場合は、その主要な部分を不燃材料で造り、又は覆わなければならない。
平成26年|問18
建築基準法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 店舗の用途に供する建築物で当該用途に供する部分の床面積の合計が 10,000㎡を超えるものは、原則 として工業地域内では建築することができない。
2 学校を新築しようとする場合には、法第48条の規定による用途制限に適合するとともに、都市計画により敷地の位置が決定されていなければ新築することができない。
3 特別用途地区内においては、地方公共団体は、国土交通大臣の承認を得て、条例で、法第48条の規定による建築物の用途制限を緩和することができる。
4 都市計画において定められた建ぺい率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建ぺい率については、都市計画において定められた建ぺい率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
(この項終わり)