|公開日 2019.4.26


1|出題傾向と合格対策

1 どちらか1問の出題

「不動産鑑定評価基準」の項で解説しましたように、「地価公示法」と「鑑定評価」は、例年どちらか1問が出題されます。規則正しく1年ごとに交替で出題されるとは限りませんので、ご苦労ですが両科目勉強する必要があります。

平成30年間の出題状況は次のとおりで、地価公示法16問・鑑定評価15問となっています。平成4年のみ両科目が出題されました。

 地価公示法の出題年 
29年 問25|27年 問25|26年 問25
25年 問25|23年 問25|21年 問25
18年 問29|15年 問29|14年 問29
12年 問29|08年 問33|06年 問34
04年 問34|03年 問34|02年 問32
01年 問32

2 少しの努力で1点

地価公示法は、条文がわずか29条しかない範囲の狭い科目です。そのため、下記の「出題テーマ」にあるように、過去問は類似問題のオンパレードになっています。

「鑑定評価」と同じように聞きなれない用語が多いのですが、過去問練習をしているうちに次第にわかるようになってきます。
とにかく過去問練習がきわめて有効で、なんとか時間を確保して練習しましょう。

やさしい科目なので少しの努力で確実に1点とれます。こういう科目は受験者の多くが得点しますので、落とすと痛い目に遭います。

2|直近7年間の出題テーマ


 平成29年|問25 
  • 標準地の価格等の公示方法
  • 標準地の価格の審査・判定・公示
  • 標準地の選定
  • 土地取引を行う者の責務
 平成27年|問25 
  • 公示区域の範囲
  • 正常な価格の意味
  • 標準地の正常な価格判定
  • 標準地の正常な価格判定の公示内容
 平成26年|問25 
  • 標準地の価格等の公示
  • 標準地の選定基準
  • 鑑定評価書の提出
  • 標準地の鑑定評価の手法
 平成25年|問25 
  • 地価公示法の目的
  • 標準地の選定基準
  • 公示価格を規準とする意義
  • 標準地の鑑定評価の手法
 平成23年|問25 
  • 公示区域の意味
  • 公共事業用地の取得価格の算定規準
  • 土地取引を行う者の責務
  • 標準地の価格等の公示内容
 平成21年|問25 
  • 公示価格を規準とする意義
  • 標準地の鑑定評価の手法
  • 標準地の正常な価格の意味
  • 標準地の選定基準
 平成18年|問29 
  • 標準地の正常な価格の判定・公示
  • 標準地の正常な価格の意味
  • 標準地の鑑定評価の手法
  • 土地取引を行う者の責務

3|宅建試験問題|直近7年間

1 平成29年度

 平成29年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの価格及び当該標準地の前回の公示価格からの変化率等一定の事項を官報により公示しなければならないとされている。

 土地鑑定委員会は、公示区域内の標準地について、毎年2回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとされている。

 標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常であると認められる一団の土地について選定するものとされている。

 土地の取引を行なう者は、取引の対象となる土地が標準地である場合には、当該標準地について公示された価格により取引を行なう義務を有する。

2 平成27年度

 平成27年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 都市計画区域外の区域を公示区域とすることはできない。

 正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいい、この「取引」には住宅地とするための森林の取引も含まれる。

 土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定する際は、二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求めなければならない。

 土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、標準地の形状についても公示しなければならない。

3 平成26年度

 平成26年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 土地鑑定委員会は、標準地の価格の総額を官報で公示する必要はない。

 土地の使用収益を制限する権利が存する土地を標準地として選定することはできない。

 不動産鑑定士が土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、標準地の鑑定評価額が前年の鑑定評価額と変わらない場合は、その旨を土地鑑定委員会に申告することにより、鑑定評価書の提出に代えることができる。

 不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格を基本とし、必要に応じて、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案しなければならない。

4 平成25年度

 平成25年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 地価公示法の目的は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その周辺の土地の取引価格に関する情報を公示することにより、適正な地価の形成に寄与することである。

 標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められ、かつ、当該土地の使用又は収益を制限する権利が存しない一団の土地について選定する。

 公示価格を規準とするとは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との位置、地積、環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因についての比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。

 不動産鑑定士は、土地鑑定委員会の求めに応じて標準地の鑑定評価を行うに当たっては、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格又は同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額のいずれかを勘案してこれを行わなければならない。

5 平成23年度

 平成23年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 公示区域とは、土地鑑定委員会が都市計画法第4条第2項に規定する都市計画区域内において定める区域である。

 土地収用法その他の法律によって土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合において、当該土地の取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。

 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行わなければならない。

 土地鑑定委員会が標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、当該価格については官報で公示する必要があるが、標準地及びその周辺の土地の利用の現況については官報で公示しなくてもよい。

6 平成21年度

 平成21年|問25 
地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 公示区域内の土地を対象とする鑑定評価においては、公示価格を規準とする必要があり、その際には、当該対象土地に最も近接する標準地との比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせる必要がある。

 標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行われる。

 地価公示において判定を行う標準地の正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合において通常成立すると認められる価格をいい、当該土地に、当該土地の使用収益を制限する権利が存する場合には、これらの権利が存するものとして通常成立すると認められる価格をいう。

 地価公示の標準地は、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が最も優れていると認められる一団の土地について選定するものとする。

7 平成18年度

 平成18年|問29 
地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 標準地の正常な価格は、土地鑑定委員会が毎年1回、2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って判定し公示される。

 標準地の正常な価格とは、土地について、自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいう。

 標準地の鑑定評価は、近傍類地の取引価格から算定される推定の価格、近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額を勘案して行わなければならない。

 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として、取引を行わなければならない。


(この項終わり)